「東のポルト屋」店主のブログ

ポルトガル語教室とポルトガル雑貨販売をしています。まるで関係ない話もします。

【新商品】家を見守るバルセロスの雄鶏(ガロ)

オンラインショップ「東のポルト屋」にて、ポルトガルのシンボル「バルセロスのガロ」を準備中です。3月4日(水)より販売開始します。

 

ポルト屋は基本的に商品を1~2点ずつ、少量で仕入れているので、今回のように色とりどり(鳥だけに?)のガロが集まると撮影中になんだかテンションが上がってしまい、途中から遊んでしまいました。 

 

f:id:mikeyyy:20200228094208j:plain

ガロの行進

 

 f:id:mikeyyy:20200228094230j:plain

ガロの朝礼

朝礼のスピーチを想像し始めたところで正気に戻りました。ガロの紹介に戻ります。

なかなかの目力です。ハンドメイドなので、1羽ずつ微妙に違います。

f:id:mikeyyy:20200228092935j:plain

おや?よく見て見ると、変わったのが1羽いるぞ。

左から2羽め、上を見上げてどこかすっとぼけたような表情。

f:id:mikeyyy:20200228092715j:plain 

おとぼけガロ「し、知らないコー」

まるで親に隠れておやつを食べた時のわたしではないか。なんだか一気に愛着が沸いてしまった。

白ガロもやさしげではんなりしていますが、真正面から見るとニヤリ顔。

f:id:mikeyyy:20200228093607j:plain
f:id:mikeyyy:20200228093733j:plain
     ニヤリ…

こんな風にお店で個性的なガロを探すのも楽しいかもしれない。

 

※ガロのまじめな紹介は「続きを読む」をどうぞ…

続きを読む

【エッセイ】「家では何語で話すのか」問題

ポルトガル人の父と日本人の母、そして少し年の離れた兄。4人家族、18歳までポルトガルで過ごした(兄は途中で家を出たが、それはそれとして)。

よく「家では何語で話すのか」と聞かれるが、答えは「話す相手による」である。

親同士は日本語半分、英語半分。父がポルトガル語で母に話しかけるのは聞いたことがないように思う。

また、母と子同士は日本語。家族全員揃っている場合も大体日本語。後から聞いた話だが、家でのコミュニケーションは日本語を主にしようと、教育方針として両親(主に母?笑)は決めたそうだ。ポルトガル語は意識しなくても普段の生活で耳に入ってくる。だが日本語はそうはいかない。それに、母語でない言葉で子どもとやりとりをするのは後々母にとって不利になるからということだったらしい(大事な話し合いを外国語でするのはしんどいもの)。

では父と子の会話はどうかというと、兄と父はポルトガル語で話す。私が生まれるまでの3人家族は父の実家で暮らしていた。祖母は当然ポルトガル語で話しただろうし、親戚もしょっちゅう遊びにきていたという。私と違って兄はポルトガル人の友人もたくさんいたし、ポルトガル語に抵抗がなかったようだ。

問題は父と私である。はじめはどうだったか正直覚えていない。だが私が中学生の時、ある日突然父が宣言してきたのだ。「今日からポルトガル語で話す」と。私が密かに家出…じゃなくて憧れの日本行きの計画を立てているとは露知らず、将来はポルトガルの大学に進学すると考えていたのだろう、父なりの工夫である。しかしブリティッシュスクールに通っていた私はポルトガル語が大の苦手。しかも反抗期真っ盛りである。何よりもポルトガル語を口にするのが照れくさい。よって、父が何語で話しかけてこようが私は頑なに英語で返し続けた。そして今も頑なに英語で返し続けている。

しかしこれをすべて説明するのは面倒なので、家では何語なのかと聞かれれば、なるべく「相手による」で終わらせる(笑)

ちなみに兄と妹の会話は英語である。なんでやねん。

【ポルトガル語学習】ポルトガルのポルトガル語が学べるアプリ

ブラジル・ポルトガル語ポルトガルポルトガル語(英語ではEuropean Portugueseという)かの見分け方についてはアプリでも同じです。イラストがポルトガルの国旗だからといって油断するなかれ(笑)インストールしてみたら、まず最初に「ボンジーア」なのか「ボンディーア」なのかを確認すべし。

以下3つののアプリでは、初級であれば無料でポルトガルポルトガル語が学習できます。ただ文法説明が皆無なので、フレーズは初級の文法を終えた後に取り組んでみるのが良さそうです。文法本を片手にどうぞ!

共通する特徴としては、
・テーマ/トピック別に学習できる。
ブラジルポルトガル語ではなく、ポルトガルポルトガル語の発音が聞ける。
・複数のアクティビティが用意されている。
・日本語が時々不自然だが理解できる。
・中級以上は有料だが、いずれも1,000円台で購入可能。

------------------

① Simply Learn Portuguese 

f:id:mikeyyy:20191009152436p:plain

f:id:mikeyyy:20191009152606j:plain

●レベル
ビギナー/マスター/アドバンストラベラー(有料)/エキスパート(有料)

●3つのモード → フレーズ/クイズ/勉強

『フレーズ』では、カテゴリを選ぶと最初に日本語のフレーズリストが表示される。フレーズをタップするとポルトガル語訳と一緒に音声が再生される。

『クイズ』では、カテゴリを選ぶと、そのカテゴリの中からランダムにポルトガル語のフレーズが表示され、複数の日本語文から正しい訳を選んでいく。音声あり。

『勉強』ではレベルを選ぶと、ランダムにポルトガル語のフレーズが表示され、「答え」をタッチすると日本語訳が出てくる。音声あり。

 

<残念ポイント>
・「勉強」モードではカテゴリごとに選べない
・画像がなく、単語帳スタイル。良くいえばシンプル、悪く言えば単調。暗記に向いている。

 

ポルトガル語6000語を覚えよう(Fun, Easy, Learn Portuguese)

f:id:mikeyyy:20191009153324p:plain


f:id:mikeyyy:20191009153308j:plain

●レベル
初級(1,000語)・中級(2,000語)・上級(3,000語)
※中級と上級は有料。まとめ買いで1,599円)

●良い点

・語彙が学習できる
・画像が付いていて視覚的に楽しい
・アクティビティが豊富で飽きにくい。順番通りに進む必要がなく、好きな学習法が選べる。

学習方法

1) まずメインカテゴリを以下から選ぶ:
人/外観/健康/家庭/買い物/食べ物/外食/学習/仕事/交通/スポーツ/娯楽/環境/参考資料

2)メインカテゴリの下に、さらに「サブカテゴリ」が選べる。

3)自分に合ったアクティビティを選ぶ:
語彙/画像を見つける/言葉を選択する/聞いて選択する/語彙合わせ/書き取り/聞き取り

 

ポルトガル語学習 - 5000フレーズ

f:id:mikeyyy:20191009153736p:plain

f:id:mikeyyy:20191009153742j:plain

●レベル
初級・中級(1,000フレーズ)・上級(1,500フレーズ)・エキスパート(2,000フレーズ)
※中級と上級は有料。まとめ買いで1,299円)


学習の仕方は②のアプリと同じで、メインカテゴリ→サブカテゴリを選び、気になるアクティビティを選ぶ。無料版だとカテゴリによってフレーズが少ないので、物足りない人は有料へ。


●カテゴリ
基本フレーズ/日常会話/緊急/友達をつくる/デート/教育/仕事/旅行/飛行機/車/その他の交通機関/ホテル/レストランとバー/食事/ショッピング/余暇/サービス/健康/コミュニケーション方法/時間と天気


●アクティビティ
語彙/文を選ぶ/聞いて選ぶ/文を完成させる/聞いて書く/空白を埋める/文を合わせる/翻訳して聞く/文を翻訳する/間違いを探す/文を作る

------------------

いずれのアプリも文法の説明や問題がないので、アプリ単体でポルトガル語を学習するのは厳しいが、とにかく発音が聞けるのが良い。語彙を強化するのにもおすすめです。

【ポルトガル語学習】ポルトガルのポルトガル語が学べる本

ブラジル・ポルトガル語の本ならある程度手に入るのに、あえて「ポルトガルポルトガル語を勉強したいんだ!」という荒くれ者…じゃなくてひねくれ者…でもなくて
猛者たちを私は精一杯応援したい。

ネイティブの私ですら一見してどれを扱っているのか分からないぐらい、日本におけるポルトガル語テキスト事情は本当にトリッキーです。なので、ここでは「ポルトガルポルトガル語」が学べる本を紹介します。といっても、数はまだ少ないです。

・文法

f:id:mikeyyy:20190921084558j:plain   f:id:mikeyyy:20190921084959j:plain

しっかり学ぶポルトガル語 カレイラ松崎順子

ポルトガルポルトガル語 内藤理佳

どちらも文法を丁寧に説明しています。ピンクの方がライトで初心者向け、青い本はがっつりといった感じです。ピンクの方は、誤植・対訳ミスが多いというレビューも見かけますが、多少は直しているのか、個人的にはそれほど気にならない。(ただ、自分がしっかり読み込んでいないからという可能性もある)

発音

f:id:mikeyyy:20190921090108j:plain

ポルトガル語発音ハンドブック 弥永 史郎

ブラジルとポルトガルの両方の発音をしっかり説明。音声学の用語が頻繁に出てくるので、慣れない方は序論をしっかり読み込むか、youtubewikipediaで事前に知識を深めた方が良いかもしれません。
この本で致命的なのが、せっかくここまで丁寧に解説して単語例もたくさんあるのに、発音が確認できる肝心の音声CDがないということ…

以下の『FORVO』というサイトではネイティブの発音が無料で聴けます。ブラジル、ポルトガル、と発音した人の出身地も明記されているのでおすすめです。音質はご愛敬!

発音ガイド FORVO https://ja.forvo.com/

 

参考までに、以下のURLで"Bom dia"(おはよう)のポルトガルとブラジルを聞くと、それぞれ「ボン・ディーア」「ボン・ジーア」 になっているのが分かると思います。
https://ja.forvo.com/word/bom-dia/#pt_pt

・会話

残念ながら、会話本は見つけられず。ポルトガルの街並みや国旗を表紙にした本を時々見かけるので期待してしまうのですが、蓋を開いてみるとブラジル・ポルトガル語。フレーズブックなら、ブラジルとポルトガルを併記して紹介している以下の本があります。が!少なくともポルトガルポルトガル語に関しては、ちょっと堅苦しいというか回りくどいというか…丁寧語に近い表現が多い気がします。発音CDが付いているのは良いし、使えるフレーズももちろんたくさんあります。

f:id:mikeyyy:20190921092937j:plain

ポルトガル語会話フレーズブック カレイラ松崎 順子、フレデリコ カレイラ

 

次回はポルトガルポルトガル語が学べるアプリを紹介します。

【エッセイ】あなたの人生、導きます「ルーマニア#203」

けして怪しい宗教の勧誘ではない(笑)。私の好きなゲームの話である。

「ルーマニア#203」はかなり特殊なゲームだった。

まず、プレイヤーはゲームの主人公ではない。主人公はネジタイヘイというどこにでもいる(しかもちょっと冴えない)大学生で、プレイヤーはその主人公を「観察」するのだ。つまり「のぞき」である。

大げさに言っているのではない。ネジタイヘイが一人暮らしをしているアパートの部屋に複数のカメラが仕掛けられているかのような視点で、主人公の行動をぼーっと見る。夜遅くまでラジオを聴いてるなぁ、あ、タバコ吸い始めたなぁ…。

 

f:id:mikeyyy:20190914115920j:plain

この冴えない顔である。

 

そんなゲームがあるか。出来の悪い映画のようなものじゃないかと結論を急ぐでない。

ただぼけーっと見ていると平凡なネジタイヘイの大学生活は終わり、気付けば「50年後も平凡な冴えない日常を送っているネジタイヘイおじさん」を見せられ、エンドロールさえ流れない。なんにもおもしろくない。では、どうするか。

プレイヤーは主人公を直接操作することはできないが、部屋に転がっているアイテムを何度もクリックすることで主人公の関心を引き、行動を促すことができる。それは雑誌やテレビだったり、電話だったりカーテンだったりする。その積み重ねがやがて彼を壮大な(?)冒険へと連れ出すのだ。

冴えないネジタイヘイに、時にはスリリングな、そして時には甘くて切ない「素敵な」人生へと導くのがプレイヤーの役割。物語は複数用意されていて、彼の関心をどこに持っていくかによって分岐、展開していく。プレイヤーがすることはシンプルだが、時間制限があったり、何をすべきかはっきり分かっていない時は夢中になってネジの関心をあそこへここへと持っていく。失敗すると「冴えない70歳のネジタイヘイ」へと早送りされる。これが意外と悔しくて、悪銭苦闘の末に成功すると嬉しくて、はまる(笑)

毎回忙しく主人公を動かすような仕組みではないので、本当にただネジタイヘイの日常をぼーっと見ていられる時もある。このまったり感がまた良い。ラジオから聞こえてくるパーソナリティのトークや、テレビから流れてくるCMやドラマは作りこまれていて思わず聞き入ってしまうし、主人公の不在中に勝手にテレビをつけて「あれ、消し忘れてったかなぁ…」と不信がらせるちょっとしたイタズラなんかもできちゃう。友人「タカハシ」とのまったりトークも妙にリアル感があっておもしろい。

もうひとつ、印象的だったなのがネジタイヘイが好きだという架空の音楽バンド「Serani Poji」が実際にCDアルバムを発売したことだ。ゲーム中にネジが聴いている曲たちがそのままCDに入っている。女性がウィスパーヴォイスで歌うポップな歌にはじめは興味を持たなかったが、よくよく歌詞を聞いてみると物語性があって結構おもしろく、今でも時々聞いている。一番のお気に入りは「もじもじ」というボサノヴァ調の歌で、久々に会った男女の少し照れ臭い空気感が女性の視点から語られている。

ちなみに、ゲームのタイトル「ルーマニア#203」の#203とはネジタイヘイが住むアパートの部屋番号である。

ゲームと現実世界が交差する不思議な感覚を味わわせてくれる名作(迷作?)だ。