「東のポルト屋」店主のブログ

ポルトガル語教室とポルトガル雑貨販売をしています。まるで関係ない話もします。

【エッセイ】「家では何語で話すのか」問題

ポルトガル人の父と日本人の母、そして少し年の離れた兄。4人家族、18歳までポルトガルで過ごした(兄は途中で家を出たが、それはそれとして)。

よく「家では何語で話すのか」と聞かれるが、答えは「話す相手による」である。

親同士は日本語半分、英語半分。父がポルトガル語で母に話しかけるのは聞いたことがないように思う。

また、母と子同士は日本語。家族全員揃っている場合も大体日本語。後から聞いた話だが、家でのコミュニケーションは日本語を主にしようと、教育方針として両親(主に母?笑)は決めたそうだ。ポルトガル語は意識しなくても普段の生活で耳に入ってくる。だが日本語はそうはいかない。それに、母語でない言葉で子どもとやりとりをするのは後々母にとって不利になるからということだったらしい(大事な話し合いを外国語でするのはしんどいもの)。

では父と子の会話はどうかというと、兄と父はポルトガル語で話す。私が生まれるまでの3人家族は父の実家で暮らしていた。祖母は当然ポルトガル語で話しただろうし、親戚もしょっちゅう遊びにきていたという。私と違って兄はポルトガル人の友人もたくさんいたし、ポルトガル語に抵抗がなかったようだ。

問題は父と私である。はじめはどうだったか正直覚えていない。だが私が中学生の時、ある日突然父が宣言してきたのだ。「今日からポルトガル語で話す」と。私が密かに家出…じゃなくて憧れの日本行きの計画を立てているとは露知らず、将来はポルトガルの大学に進学すると考えていたのだろう、父なりの工夫である。しかしブリティッシュスクールに通っていた私はポルトガル語が大の苦手。しかも反抗期真っ盛りである。何よりもポルトガル語を口にするのが照れくさい。よって、父が何語で話しかけてこようが私は頑なに英語で返し続けた。そして今も頑なに英語で返し続けている。

しかしこれをすべて説明するのは面倒なので、家では何語なのかと聞かれれば、なるべく「相手による」で終わらせる(笑)

ちなみに兄と妹の会話は英語である。なんでやねん。