「東のポルト屋」店主のブログ

ポルトガル語教室とポルトガル雑貨販売をしています。まるで関係ない話もします。

【エッセイ】猫のいない部屋

我が家では2匹の猫を飼っている。メス猫のみかん、オス猫のちび。2匹とも今年で13歳になる。今でも押し入れに駆け上ったり、冷蔵庫から飛び降りたりするほど元気だが、それでも立派な老猫。今朝、健康診断を受けさせるため、2匹を近くの動物クリニックに預けた。みかんは数年ぶり、ちびは初めての経験である。

  

実は、つい半年前まではためごろうというオス猫がもう1匹いて、人間(夫婦二人)よりも猫の数の方が多かったのだが、その子は腎不全で昨年10月にこの世から去った。病院にも通っていたが、原因の発見が遅かったのか、呆気なく逝ってしまった。

 

こういう時にたらればを考えても仕方ないのだが、どうしても「もう少し早く気づいてあげていたら」という後悔が残ってしまったので、2匹もいい歳になってきたし、一度診てもらおうと決めたのである。

 

さて、2匹を迎えに行くのは夕方なので、いったん家に戻ったのだが。なんと静かで平和なことか。

 

・トイレのドアを開けっぱなしにしていても安心(猫のエサはトイレ内に保管しているので、人がトイレに行くたびに食いしん坊のみかんが物欲しそうにやってくる)

 ・食べ終わったあとの汚れた食器もシンクに置きっぱなしにしていても大丈夫(時々、夜中にゾ~リ、ゾ~リと台所から聞こえてくる音の正体は、洗い終わったフライパンの裏を舐めているみかんである。夫は「妖怪アブラ舐め」と呼んでいる)

 ・洋服だって、突然の吐き戻しの被害に遭う恐れもないのでその辺に脱ぎ散らかしたって構わない(なぜわざわざ布ものに近寄って吐くのか)

 

外から帰ってきても、伸びをしてゆっくり寄ってくるちび、ご飯ご飯、と期待を胸にふくらませて駆け寄ってくるみかんのお迎えもない。料理をしていても誰も「どれどれ」と様子を見に来ない。ちょっと勉強の息抜きに、部屋の日当たりの良い所を見渡しても気持ちよさそうにしている寝顔もない。

 

・・・・・・・

 

なんと空虚な部屋、なんてつまらないんだろう。

考えてみたら、猫や犬のいない部屋に住んだ期間は、34年の生涯の中、高校を卒業して来日してからの2年程度。大学3年生の時にとうとう我慢ができなくなり、2匹の兄弟猫(ためごろうとみかん)を保健所から、そしてその3か月後に野良猫のちびを引き取った。

 

大体、本来がぐうたらの私、猫がいなかったら部屋など散らかり放題だったに違いない。猫に感謝。朝はご飯抜きだったから、帰ったら美味しいものをあげよう。

何よりも私が自分の朝ごはんを食べていた時のみかんの恨めしそうな顔が忘れられない。

 

そして、どこも悪いところがありませんように。

 

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ためごろう。やんちゃで、3匹の小さな猫社会でボス気取り。知らないお客さんにも「撫でて~」と摺り寄ったり。とても人懐こくて良い子でした。